(オープンイノベーション講座-3)
オープンイノベーションの手法


企業がオープンイノベーションを取り入れる、具体的なアクションとして様々な手法を活用できる。本稿では複数の分類法と共にそれらを紹介する。

知識の流れる方向に基づいた分類

オープンイノベーションでは外部と知識のやり取りをしながらイノベーション創出の最大化を目指す。Gassmannらは知識が流れる方向に基づいて3つのタイプに分類している:
  1. Outside-ininboundprocess
    • サプライヤー・顧客・競合他社・その他外部組織の保有する知識を社内に取り込む 
    • 外部の知識を理解する能力である吸収力(absorption capacity)が必要である 
    • 社内のnot-invented-hereNIH)症候群が障害となる
  2. Inside-outoutboundprocess 
    • 社内知識を外部に導出してイノベーションを作り出す
    • 報告されている事例は商業化フェイズのものが多い
  3. Coupled process
    • 12の組み合わせであり、協業パートナーと相互に知識をやり取りしながら進める
(参照)
Gassmann O, Enkel E (2004) Towards a Theory of Open Innovation: Three Core Process Archetypes, R&D Management Conference (RADMA), Lisabon, Portugal

大企業の多くはアウトサイドイン型を好み、文献での報告事例も多い。インサイドアウト型やカップルド型についての報告は限られている。

問題の複雑さ知識の場所による分類

Narsalayらは問題の複雑さと知識の場所が特定度合い2軸によってオープンイノベーションの取り組み方mode)を分類している
  1. 従来のIPに基づいた契約
    • 市場取引によるIPのやり取りであり、単一の所有者が特定の技術を持っている時に用いられる
    • 従来のコラボレーションとして取り組まれてきた
  2. オープンイノベーションパートナーシップ
    • 双方向の関係であり、問題が複雑でありかつ解決策技術領域が明確である時に用いられる
    • 問題の解決に必要なパートナーが特定されている場合に適用できる
  3. オープンイノベーションコンテスト
    • コンテスト形式を取り、問題を説明することが容易である一方で解決策の方向性が明らかでない時に用いられる 
    • 自社が抱える課題を広く公開する必要がある
  4. オープンイノベーションコミュニティ
    • 複数の参加者間でのコラボレーションであり、問題が複雑でかつ共同作業が必要な時に用いられる 
    • コミュニティに質の高い潜在的解決者を引き付けることが求められる
(参照)
Narsalay R, Brunswicker S, Bagherzadeh M (2016) The smart way to open your innovation process, Outlook, Accenture

上記の4つのモードは相互に関連しており、1つのプロジェクトを行う際に複数を組み合わせられる。例えば解決策の方向性が不明確な時にオープンイノベーションコンテストを適用し、応募してきた提案者と個別にオープンイノベーションパートナーシップを締結する場合である。

モードはパートナーに提供する対価の大きさ・得られた成果に関するIPの所有権・知見の共有の程度などが異なる。

対象の広さと方向づけによる分類

Panettaは対象の広さと方向づけの有無の2軸でオープンイノベーションのアプローチを分類している
  1. Suggestive, participative
    • 問題が明確でな状態でアイデアを発生させる必要がある時に用いる
    • 結果として雑多なアイデアが集まることになるため、取捨選択が難しい
  2. Suggestive, invitational
    • 一部の専門家からの提案を集める時に用いる
    • 特定業界の重要課題を対象とすることが多い
  3. Directed, Invitational
    • 特定の問題を解決するため一部の専門家を集めたコミュニティを創る時に用いる
  4. Directed, participative
    • 明確な問題に対して異なる視点から広くアイデアを求める時に用いる
    • 様々なアプローチが集まるが、対象が明確であるため判断しやすい
(参照)

オープン性イノベーションのステージによる分類

Harwoodはオープン性イノベーションのステージ2軸でオープンイノベーションのアプローチを分類している。本分類ではオープン性の軸に組織内を含めてい
(参照)

オープンイノベーション活動の初期組織内の反発が見られる場合がある。そうした際には例えば異なる事業部や拠点間を対象としたオープンイノベーション活動から始めて免疫をつけ、徐々に対象を外部に広げていくやり方が有効である。

知識の方向性と金銭の授受の有無による分類

2013年のEU・アメリカの大企業を対象としたオープンイノベーションに関する包括的な調査において、Chesbroughらは知識の方向性と金銭の授受の2軸で分類している。分類にはクリエイティブ・コモンズへの寄付まで広く含められている
(参照)
Chesbrough H W, Brunswicker S (2013) Managing Open Innovation in Large Firms, Fraunhofer IAO

本報告によるとアウトサイドイン型のプロジェクトはインサイドアウト型の4分の1以下しか取り組まれてない

おわりに

手法を整理すると、個々のプロジェクトにオープンイノベーションを適用する際に様々な可能性があることに気付く。各々の企業が持つ各種戦略や企業文化に適した手法異なるため、まずは複数の手法べきである。

Tom

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