(オープンイノベーション講座-19)
国内のオープンイノベーション活動支援サービス

日本国内の組織が提供するオープンイノベーション活動支援サービスが増えてきている。本稿では大企業の視点から、オープンイノベーション活動を行う際に利用可能なサービスを紹介する。
  • 2018年3月にi-commonを追加した
  • 2018年5月にケイエスピーを追加した 
紹介しているサービスは以下の通り:

シーズ導入/導出

Co-LABO MAKER

特定の実験機器や技術を利用したい組織と遊休設備や強みのある技術を活用したい組織を結びつけるシェアリングプラットフォームである。
運営者:Co-LABO MAKER
特徴は以下の通り:
  • 機器を保有している大学の研究室に対して、分析業務を安価に依頼できる
  • 自社リソースを外部組織に活用させることで、協業のきっかけを作れる
(参照)
http://co-labo-maker.com/

J-GoodTech(ジェグテック)

信頼性の高い日本や世界の中小企業を見つけることができるビジネスマッチングサイトである。
運営者:中小企業基盤整備機構
特徴は以下の通り:
  • 登録企業は日本企業:4,800社・海外企業:2,500社である
  • 日本の中小企業は中小機構が審査した企業や支援機関等から推薦された企業のみ、海外企業は各国の支援機関が推薦する企業のみが登録されている
  • 登録企業の57%は受託加工と部品メーカーで、26%は設備装置メーカーである
  • 2017/8/25時点のパートナー企業(大手/中堅/商社/流通など)は368社である
  • パートナー企業はサービスを無料で利用できる
  • パートナー企業は登録企業に対する自社ニーズの発信(匿名可)・提案受付に関する代行サービス・要望に基づいた個別紹介・マッチング会の企画/開催・商談サポートが受けられる
(参照)
https://jgoodtech.jp/pub/

L-RAD(エルラド)

アカデミアの研究者が競争的研究資金に応募した際に不採択になったアイデアをデータベース化し、企業が共同研究先を探索できるプラットフォームである。
運営者:リバネス・池田理化・ジー・サーチ(富士通)
利用している企業例:大塚製薬・ジェイテクト・田辺三菱製薬・東洋紡・日本たばこ産業
特徴は以下の通り:
  • 登録者数は助教・准教授・教授・ポスドクの順に多い
  • 会員企業は興味あるキーワードで申請書を検索できる
(参照)
https://l-rad.net/

TEC-PAL(テクパル)

ものづくり業界(自動車・家電・航空宇宙・機械など)の技術者が抱える課題に対して、AIを用いて解決策となる技術をマッチングするプラットフォームである。
運営者:テクノポート
特徴は以下の通り:
  • 登録者は技術情報探索・技術情報登録・他のユーザーへのコンタクトができる
  • 異業界・異分野の技術者と気軽にコミュニケーションできる
(参照)
https://tec-pal.com/

オープンイノベーション・ソリューション・サイト

企業が技術ニーズをプラットフォーム上で公開し、京都府内の優れた技術を持つ企業から技術解決策を募るプラットフォームである。
運営者:関西文化学術研究都市推進機構
特徴は以下の通り:
  • ニーズ/シーズを保有する企業のどちら側も無料で利用できる
  • ニーズ企業は匿名で募集できる
  • ニーズ企業はコーディネーターのサポートを受けられる
(参照)
https://kri-open-inv.jp/

ケイエスピー

大企業のニーズに対して、機密性を確保しながら国内の中小企業の技術を探索するサービスを提供している
特徴は以下の通り:
  • 国内の自治体・大学・銀行・VCなど150機関と提携している
  • 顧客のニーズに適した技術シーズの掘り起こしのために、全国主要都市で募集説明会を開催している
  • 提案された技術シーズはケイエスピー内で評価を行い、ニーズに適した技術を保有する企業のリストを顧客に提供する
  • 初回の面談設定は無料で行い、その後のサポートは有償で提供している
  • 利用できる企業は年間10社(1業種1社)で、1社あたり最大で10件を依頼できる
(参照)
http://www.ksp.co.jp/

リンカーズ

大手・中堅企業のサプライヤー/技術パートナー探索ニーズを元に、登録コーディネーターが受注候補を探索してマッチングするプラットフォームである。
運営者:リンカーズ
利用している企業例:オリンパス・コクヨ・コマツ・参天製薬・ダイセル・トヨタ自動車・富士フィルム
特徴は以下の通り:
  • 国内の500以上の産業支援機関やNDAを締結した2,000名以上の産業コーディネーターと連携している
  • 探索案件1回ごとに費用が発生する
  • 現在は国内が探索対象であるが、一部海外も可能な場合がある
  • 利用事例として新規事業に役立つ技術シーズ保有企業・アカデミアの共同研究パートナー・特殊な設備を保有する試作依頼先・特定の地域に限定した業務委託先の探索が紹介されている
(参照)
https://linkers.net/

特許ライセンシング 

IP Bridge

知的財産ファンドの運用会社であり、企業やアカデミアから特許権を譲り受けてのライセンシングや、特許権に基づいた事業化のコンサルティングを行っている。
特徴は以下の通り:
  • 3,000件を超す日本及び外国特許を保有している
  • ファンド規模は300億円である
  • 保有特許の主な技術領域はICTであるが、ヘルスケア・環境エネルギー・食品関係・医工連携など幅広い
  • 産業革新機構を中心に複数社で創立された
  • 優れた価値がありながらも未活用となっている知的財産権の発掘と活用を目指している
(参照)
http://ipbridge.co.jp/

専門家探索

i-common

必要なときに各業界のプロフェッショナル・専門家を顧問として紹介するサービスである。 紹介する人材は経験豊富なシニアエグゼクティブやフリーのコンサルタントで、企業が抱える課題に対して「実行型」の経営支援を行う。
運営者:パーソルキャリア
特徴は以下の通り:
  • 費用25万円/月以上で、短期から中長期までサービス形態が選べる 
  • 進捗確認等を随時フォローすることにより、最適な支援を行うための環境づくりを行っている 
  • 1,500社を超える企業の導入実績がある 
(参照)
 https://i-common.jp/

Keyman Access

特定の業界の専門家の声を聞きたい企業に対して、電話や対面での技術アドバイスやニーズ確認が可能な国内外の企業の(元)在職者や研究機関の研究者を紹介するサービスである。
運営者:オープンアソシエイツ
特徴は以下の通り:
  • 2017/10/06時点で16分野7,505名のキーマンが登録されている
  • 費用は国内(訪問提案・ヒアリング):15万円/件・海外(電話会議・ヒアリング):22.5万円/件である
  • 新規事業を検討している化学メーカーが見込み顧客である自動車/製薬メーカーの研究開発責任者にヒアリングした事例が紹介されている
(参照)
http://keyman-access.com/

ビザスク

個人の知見とビジネス上の課題をマッチングし、対面/電話によるビジネス課題の相談を1時間から依頼可能なスポットコンサルプラットフォームである。
運営者:ビザスク
利用している企業例:AGC旭硝子・NTTレゾナント・コニカミノルタ・ダイセル・帝人・パナソニック ヘルスケア・LIXIL
特徴は以下の通り:
  • 登録者:40,000名・月間案件数:1,000件・1時間の平均謝礼額:15,000円である
  • 登録者の約70%が現役の会社員である
  • 所属企業で副業規定がある登録者向けに、謝礼を提携NPOに寄付できるようにしている
(参照)
https://service.visasq.com/

顧客との共創

Blabo!

製品/サービスのユーザーから参加者を募ってコミュニティを運営する共創マーケティングプラットフォームである。
運営者:Blabo(ブラボ)
利用している企業例:アサヒビール・キリンビール・コクヨ・ハウス食品・森永乳業・ロッテ
特徴は以下の通り:
  • 登録者:13,000+名・総アイデア数:50,000+個・実現吸:100+個である
  • 参加者から集めたアイデアを製品/サービス化する際に、運営者のサポートが受けられる
(参照)
https://bla.bo/

Wemake

企業がお題を出し、コミュニティの参加者であるクリエイターや生活者がアイデアを提案するプラットフォームである。
運営者:A(エイス)
利用している企業例:コクヨ・小林製薬・ダイキン工業・富士ゼロックス
特徴は以下の通り:
  • サービスの流れは「コンセプトを募集(50~200個)」→「生活者による投票(5~10個)」→「最終審査(1~3個)」→「商品開発(1~3個)」である
  • 費用は「商品コンセプトの募集費用」+「売上からの後払い」である
  • 参加者には大手メーカーに勤めている人もいる
  • 参加者には商品の売上から固定/ロイヤリティ報酬として分配される
  • 参加者のレベルが高いため、高度な3DCGや試作品を伴った具体的なコンセプトが集まる
(参照)
https://www.wemake.jp/

クオン

100万人を超える消費者が利用するコミュニティシステム「Beach」を用いて、企業の消費者コミュニティ構築と運用支援(開設・活性化・分析・活用)を行なっている。
利用している企業例:NTTドコモ・アサヒビール・伊藤ハム・キユーピー・資生堂・田辺三菱製薬・森永乳業・ライオン
特徴は以下の通り:
  • ユーザーは「Beach」をPC版とスマートフォン版で利用できる
  • コミュニティの構築と運用支援のために呼掛・役割・報酬・進行を組み合わせた活性メソッドを用いている
  • 活性化メソッドを支えるために、社会学などの様々な分野のアカデミアの研究者をリベラルアーツパートナーとして抱えている
  • コミュニティに蓄積される膨大な量の消費者の活動データを科学的に分析することによってインサイトが抽出される
  • 複数の特許技術を組み合わせたデータサイエンステクノロジー(ロイヤルティ分析×行動分析・モニタリング分析・ファン化分析・テキストマイニング分析・感情チャート分析・ネットワーク分析)を活用している
  • 売上高を増加させつつコミュニティを拡大させる育成型自動学習広告(AAA)を提供している
(参照)
https://www.q-o-n.com/

新規事業 

01Booster(ゼロワンブースター)

保有している起業家ネットワークを元に企業の新規事業開発支援を行うコーポレートアクセラレータープログラムを提供している。
利用している企業例:キリンホールディングス・森永乳業・LIXIL
特徴は以下の通り:
  • サービスの流れは「人材交流」→「経営資源の探索」→「選抜」→「共創プログラム期間」→「事業/資本提携」である
  • シェアオフィス事業を通してベンチャー企業とネットワークを築いている
  • ベンチャー企業への出資も行っている
(参照)
https://01booster.co.jp/

astamuse.com

日本の技術情報に基づいて、社会課題・分野別動向・法人情報などを広く公開しているプラットフォームである。
運営者:アスタミューゼ
利用している企業例:キッコーマン・パナソニック・富士電機
特徴は以下の通り:
  • 2017/10/11時点で10カテゴリ163課題が提供されている
  • それぞれの課題のページには、推定市場規模・成長市場・取り組んでいる企業・関連特許が記載されている
  • 運営者であるアスタミューゼ(旧パテントビューロ)は元々知的財産関連の事業を手掛けており、2009年より研究者・技術者・企業経営者が利用しやすい形で特許情報を閲覧・検索できるウェブサイト「astamuse」を公開していた
  • 現在のアスタミューゼは世界80か国を対象とした新事業・新事業のデータベースを保有しており、国内の特許・論文データを無料で公開している。また下記のサービスも提供している:
    • 新事業の課題やテーマごとにwebページを作成し、人材・特許/ノウハウ・出資/業務提携パートナーを公募できるクラウドイノベーションサービス
    • 世界730万社・国内12,000社のデータベースを活用して対象企業を積極的に集客するアクセラレーションプログラムasta*ENjiNE(アスタエンジン)(Relicとの共同事業)
  • アスタミューゼが保有しているデータベースは新事業データ(VC・M&A)・新技術データ(科研費・グラント)・新製品データ(クラウドファンディング)・根拠データ(特許・論文)などから構成されている
(参照)
https://astamuse.com/

CTC Future Factory

オープンイノベーションに取り組む企業や自治体などがベンチャー企業と連携しアイデアを創出することを総合的に支援するサービスである。
運営者:伊藤忠テクノソリューションズ
特徴は以下の通り:
  • リーンスタートアップのためのアジャイル開発・ネットワーキング/コミュニティ・業種連携/マッチング・専用スペースの4つの機能を提供している
  • グループ会社がアメリカで開設予定の「Open Innovation Lab」と連携する予定である
(参照)
http://www.ctc-g.co.jp/news/press/20170609a.html

creww(クルー)

登録しているスタートアップ企業に対して各種リソースを保有する大企業が協業パートナーを募集するプラットフォームである。
運営者:Creww
利用している企業例:九州電力・東京ガス・フジクラ
特徴は以下の通り:
  • サービスの流れは「大企業が協業パートナーを募集するページを開設」→「スタートアップとオンラインでやり取り」→「選定されたスタートアップがプレゼンする」→「協業」である
  • 登録しているスタートアップ企業は3,100社である
  • 2017/10/10時点での実績はコラボ開催数:91件・総提案数:3,366件・プレゼンテーション:671件・採用(協業中案件含む):387件である
  • 大企業はメディア・施設・商品・製品・イベント営業網・顧客・技術・資金などを提供することになる
(参照)
https://creww.me/ja

eiicon(エイコン)

企業・大学・地方自治体などの組織が組織情報や期待する協業形態などを記載したページを作成して宣伝できるプラットフォームである。
運営者:パーソルキャリア
利用している企業例:NTTデータ・コニカミノルタ・サイバーエージェント・東急電鉄・富士通・リコー
特徴は以下の通り:
  • 2017/9に法人登録者数が1,800社を越えた
  • 2017/10/9時点でケミカル分野では22組織が登録している(AGC旭硝子・JNC・日揮・三井金属鉱業)
  • 基本的には無料であるが、12万円/月のPRコンサルティングやレコメンド等の各種オプションが付いた有料掲載もある
  • イベントの開催やマッチング支援のサービスも提供されている
  • 自社の宣伝と協業パートナーの探索の両方に活用できる
  • 他社のオープンイノベーション活動の担当者と連絡を取れる
(参照)
https://eiicon.net/

おわりに

日本国内におけるオープンイノベーションの盛り上がりと共に、今後も様々な組織が新しいサービスを立ち上げるが予想される。またCreww・ビザスク・リンカーズによるOPEN INNOVATIONコンソーシアム設立のような、サービス間の連携の動きも活発になるだろう。
(参照)
https://company.creww.me/open-innovation-consortium-2764.html

オープンイノベーション活動を行う大企業の立場からすると、活用できるサービスの選択肢が増えることは喜ばしい。サービスごとに強みや費用が異なるため、慎重に比較検討する必要がある。実務的にはJ-GoodTechやオープンイノベーション・ソリューション・サイトのような、公的機関が提供する無料サービスを軸に据えるとコストパフォーマンスがよい。

本記事は今後も定期的に修正していく予定である。

Tom

ご意見やご質問はthomas.openinnovation@gmail.comまでお気軽にお寄せください。
可能な限りご返事いたします。
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